「山の歌声」は、朋文堂から1963年に刊行されました。1962・63年に制作された6作品が収録されています。これらの作品は、いずれも雑誌『山と高原』の表紙にも使用されました。
 

ことば  畦地梅太郎
 わたしの場合、山は季節に関係なく、心の奥底深く染み込む。
 その染み込む山々を、しかと、受けとめる度合の強弱が、そのまま、わたしの仕事に、成否の結果がある。
 山が心に染み込むということは山を眺めることの以上に、山の心を知ろうと願うことの大事さをいいたいのである。
 と、えらそうなことはいうものの、この集にまとめたそれぞれの作品は、表紙という目的のために作ったものだけれど、表紙としても、また、作品としても、不充分さの目立つものもありそうだ。いまだ、力及ばずの感しみじみだ。

冬山(別題・山男)

畦地梅太郎が抽象画作品を積極的に制作していた時期の作品で、山男や鳥の描き方も他の時代の山男作品とは異なっています。

山の歌声

歌っているように見えるのは、山男でしょうか、それとも山そのものでしょうか。落ち着いた色調の中にも、見る者を楽しげにさせてくれる作品です。

あこがれの山(別題・早春の山)

鮮やかに描かれた太陽と、全体の柔らかな色調が、春の訪れを感じさせる作品です。 

山の驚き(別題・雪解の山)

雪に覆われた山が、春の訪れとともに元の姿を見せ始めた時の驚きを作品にしたのでしょうか。山男の後ろには、様々ないきものが描かれています。

山男の憩い

厳しい山の中で、一時の休息を楽しむ山男の姿が描かれています。

湿原の花

この画集に収められている中では、少し趣の異なる作品です。この水芭蕉は、山歩きの中で見たものでしょうか。落ち着いた色調の中に安らぎを与えてくれる作品です。