ピッケル(1972)

ピッケルを持った山男がシンプルに描かれている作品です。後出の山男1〜3とあわせて、山男作品に回帰していった当時の畦地梅太郎の心境が窺えるような作品です。

光るピッケル(1972)

『ピッケル』と対をなす作品です。畦地梅太郎が帽子を描くときは、なぜか赤色に描かれることが多いように思います。

山男(一)(1972)

山男(一)~(三)は連作になります。服の部分など少し明るい色遣いが特徴です。山男のみを描き、題名も単に「山男」としているのは、抽象画などの制作を経た後、山男作品の制作に回帰していく畦地の心境が反映されているのかもしれません。

山男(二)(1972)

面の組合せで大胆に描かれた山男が特徴です。山本周五郎「季節のない街」の文庫本の表紙にも使用されました。

山男(三)(1972)

他の2作品と異なり柔らかな山男の表情が描かれています。 

鳥をいだいて(1972

かつて、この作品に心を癒されるというファンの方がいらっしゃいました。畦地梅太郎に孫が誕生した頃の作品で、穏やかな作風の作品が増え始めた時期でもあります。

水(1973)

畦地梅太郎の作品には、「水」という題を用いた作品が多くあり、それらの作品に書かれる山男たちは、大事そうに水筒を抱えています。山に登ることが多かった畦地梅太郎にとって、水は特別に意味のある物だったのでしょう。

ものの気配(1973)

山でテントを張っているいるときに感じた何かの気配を表した作品です。そのとき感じた気配とは、何だったのでしょうか?

ぬくもり(1975)

1970年代に入ってから、山男の表情が徐々に穏やかなものになってくのが、よく分かる作品です。題名に見られるように山男の温かな表情が印象的です。

家族(1975)

この作品制作の前年に孫が二人誕生していますが、そのことがテーマになっていると思われます。

いかりの親子(1975)

畦地梅太郎の作品でこういったタイトルがついたものは、珍しいかもしれません。この二人は、何に怒りを覚えているのでしょうか?子供を描いている明るい緑色などは、この時期の作品に特徴的であるといえるかと思います。

二つのいのち(1975)

畦地梅太郎が多く描いた鳥をかかえる山男の作品です。背景の少しくすんだ青色や山男の色使いに畦地梅太郎らしさがよく出ている作品です。

鳥のすむ森(1975)

畦地梅太郎は、「心から安らかに住める場所がなくなって」という想いからこの作品を制作したとその著作で述べています。畦地作品の持つ温かさが全面に出た、大変人気の高い作品です。

山の親子(1975)

この時期の作品には、親子を題材とした山男の作品が多いのですが、その中でも、この作品は代表作といえるでしょう。自らの家族が大きくなっていくことへの喜びにあふれた作品です。

親子の水(1975)

「山の親子」と同じ年に制作された同作品と対を成すような作品です。水筒を抱えた子どもとその子を大事そうに抱く親が、煙を吹く山を見つめています。

山の家族(1975

明るい色調の下で、家族の温かさが伝わってくる作品です。本を持った山男は、その家族に何を読み聞かせているのでしょうか。

親子よろこぶ(1978)

親子は、山頂に到達して喜んでいるのでしょうか。小さな作品の中に、山に登る者のよろこびと、家族への想いが詰められています。

ささやき(1978)

他の作品と同様に、ひげ面の山男が描かれていますが、よろこびに満ちた可愛らしい表情を浮かべています。畦地梅太郎が自然に向けた優しい気持ちが表現された作品です。

若者(1978

1958年に制作された作品の背景色を変えて、1978年に新たに制作された作品です。ひげがなくピンクがかった唇の色から女性か子供を描いた作品ではないかと思われます。とても優しい印象を与える作品です。

赤い飲みもの(1978)

どんな飲み物を飲んでいるのか分かりませんが、ワインなのでしょうか?畦地梅太郎自身は、ワインはあまり飲まなかったのですが…