ギャラリー 画集「山 北アルプス」

「山─北アルプス─」は、創文社から1967年に刊行されました。北アルプスの山岳風景を描いた5作品が収録されています。

この画集には、畦地梅太郎による次の文章が付されています。

 

 「山」によせて

 夜の無気味な山の中でも、外気をさえぎる天幕の布一重は、コンクリートにも増して、鉄の堅さに思われて、天幕の中は城郭の中、安堵の気持でわたしはいられる。たまに、無人の山小屋に泊まったりすると、ネズミに荒らされて閉口する。

  何日も天幕で歩いたあと、無人の小屋へたどりつき、泊まったらその晩、ネズミに鼻っ柱をかじられて痛いめにあったことがある。何日も顔など洗わなかったので、鼻の穴に汚物がたまっていたのである。こんなことは、ずっと昔のわたしの止むを得ずやったことである。

  こん日の北アルプスには、お助け小屋的な山小屋があるかないかは知らん。こん日ある山小屋は、下界のありきたりの旅館など顔負けの堅固で豪壮なものばかり、この画集にはその山小屋を、点景的に取り入れてみた。

燕(頂上の小屋)

大天井

常念

涸沢(涸沢の小屋)