槍ヶ岳(1952)
畦地梅太郎が山に関わる人物を描いた作品の中でも相当に初期のものになります。描かれているのは、これから登り進めていく山を見つめる様子でしょうか。
登はんの前(1952)
山の人物を描いた作品の中では、初めて展覧会に出展されたものとなります。山男シリーズの出発点となった作品の一つとして知られています。
ネブカ平(1953)
白馬にある「ネブカ平」がタイトルになっている作品です。初期の山男作品で、この後の作品と比べると、人物の描き方も相当異なっています。
山男(1953)
「タバコ」とよく呼ばれています。初期の山男作品の中でも代表的な作品といわれています。
山男(二)(1953)
「山男」に続く山男作品ですが、「山男」よりも一回り小さな作品になります。他の山男作品と同様に、素朴な風合いが特徴的です。
闘士(1953)
畦地梅太郎の作品としては珍しく、力強さが前面に出ているタイトルが付されています。山に向かう若者の気力に満ちた様子を描いているのでしょうか。畦地梅太郎は、この作品の制作当時、50歳を超えており、山に登る回数も少なくなっていきましたが、創作に対する意欲は満ちあふれていました。
山の女(1954)
この作品ができた当時は、今と違って、山に登る女性は少なかったことでしょう。畦地梅太郎が女性を描くことは少なかったのですが、山に登る女性がよほど印象に残って、この作品を残したのでしょう。
枯木と山男(1954)
シンプルな構図の中でも背景のグリーンと大きなピッケルが特徴的な作品です。枯木と雪山を背景にしながらも、グリーンの背景によって、どことなく春の訪れを感じさせる作品になっています。
スキーの人(1955)
スキーを持っている山男の表情はどことなく頼りなさげにも見えてきます。畦地梅太郎自身は、スキーは苦手だったようです。
老スキーヤー(1955)
『スキーの人』とは異なり、描かれている人物は、堂々とした雰囲気を漂わせているように見えます。
山男(1955)
山男作品群初期の小さな山男作品です。1963年にこの作品の版の一部を変えた「ピッケルを持つ山男」という作品が制作されています。この作品は、いわば「ピッケルを持たない山男」でしょうか。
山男(三)(1956)
山男を題材にした作品の中でも初期の作品です。今でも人気がある作品です。
山男(四)(1956)
この作品の中の山男は、らいちょうと向かい合って、まるで会話をしているようです。1956年を過ぎる当たりから、山男作品は、現実の世界にはないような情景が描かれ、また、山男も実在の人間の姿とは異なる姿で描かれるようになっていきます。
山男(五)(1956)
片手でカップを持ち、もう片方の手でらいちょうを支えている山男。らいちょうに水を与えているのでしょうか。
わかれ(1956)
やっとの思いで山を登り詰め、そこでめぐりあった生きものと別れを描いた作品です。これから山男は、山を下りていきます。
めぐりあい(1956)
「わかれ」とは、同じ時期に作られ、対をなす作品です。人物は、銃持っていますが、それを使うのを止め、優しい目になっています。
ザイル(1957)
畦地梅太郎は「ザイル」という題の作品をいくつか制作していますが、それらの中でも代表的な作品です。明るい服の白と背景の深い黒とのコントラストが特徴的です。
山のよろこび(1957)
題名のとおり、山男は鳥を持ち上げながら、喜びの表情を浮かべています。創作版画が非常に大きな作品で、大英博物館にも収蔵されており、創作版画が海外で高く評価されていたことがうかがわれます。
なげく山男(1957)
ガラス絵のような描写と色遣いが特徴的な作品です。色遣いに惹かれるファンの方も多いようです。
山を行く人(1957)
「なげく山男」と同じような作風の作品です。リュックを背負い、杖を持った山男が、モザイク模様の組合せで描かれています。
雪の中の男(1958)
山男作品の中でも非常にシンプルな構図て描かれている作品です。一面白く描かれた背景から、雪深い山が連想されます。
若者(1958)
「雪の中の男」と同じような色づかいと構図ですが、山男は、どことなく若者らしく見えるようにも思われます。
若者(1959)
首にロープをぶら下げた人物は、首をかしげてこちらを見つめています。ヒゲがありませんので、女性を描いているのではないかと思われます。シンプルな構図ながら、何か印象深く残る作品です。
風(1959)
山男の顔は、少し厳しい表情なのですが、風になびいた髪がかわいらしく、当時の山男作品の中では、優しい印象を与えています。